きっと私は夢を見ていたんだ

あれが噂に聞く淫夢というものか。思えば十五年間生きてみたが一回も見たことが無かった。

あんなに恐ろしいものだとは…

夢の中であの人は、壊れ物を扱うように私に触れてきた
くすぐったいような怠いような、なんとも言えない甘い痺れが私を包みこんだ

血の味が広がった

ぼんやり、ぼんやりと夢心地で、夢の中の私は、夢と思えない痛みと屈辱と悲しさに堪えた

ぼんやり、ぼんやり

甘い匂い、骨張った手、絹のような髪

それらと触れるたび、私は哀しいほど切なくなった
いや、今思い返すだけでも・・・

嗚呼・・・嗚呼、苦しい…

スナコは部屋から出ずにいた。
いや、出られずにいた。

あの夢を見てから動けない、動く気力もない。
『あれは夢、そう夢。
 だって起きたら部屋にいたもの。
 大丈夫、現実ではないわ。
 起きたら私は自室のベッドに・・・べっど・・・に・・・、』

ここでスナコの意識は再び飛んだ。
そう、再び。
朝からスナコは起きては考え、気絶し、また起きては考えと同じことを繰り返している。

『!  ・・・いやだわアタクシったら・・・
 また寝ちゃったのね・・・・・・。』
次にスナコが目を覚ました時、その光はやってきた。

「おい、」 ドアを開けてきたのは恭平。淫夢に出てきた張本人。

「!!!」 それに気付くとともにスナコは、・・・

気を失い、ゴトリと鈍い音を立てて床に倒れた。

恭平はどうしたものかという表情でため息をついた。

「おまえさぁ、夢だとおもってんの?」
伏したままのスナコに恭平が語りかける。

虚ろな意識の中、スナコの耳に恭平の声がお構い無しに入ってくる。
「・・・夢でしょう・・・?全部・・・」
蚊の泣くような声で彼女は答えた。
「現実だ。俺は、お前とヤった。現実だ!」
恭平はなおも続ける。強調するように、続ける。
「だって、おきたら自分の部屋に、」
「お前がまた寝たあと俺が運んでやったんだよっ。」
スナコが勢いをつけて起き上がる。
「何であんな事したんですか?!私が貴方の事苦手だって知ってて!!」
「やりたいからやったんだ!悪いか!」
「そんな理由で私はあんな目に合わされたんですか!?冗談じゃねーです!!!」
「そんな理由って何だよそんな理由って!!!!!」
「やりたいからなんて私的な理由、くだらなさすぎます!ファンの子にやらせてもらえばよかったじゃないですか!!!」
「誰でも良いって訳じゃねーよ!おまえだからやったんだ!」
「余計ふざけんじゃねーですよ!もーあったまきました!!出て行きます!」
「ふざけんなテメー!出てくだと?!させねーよ!」
「何でですか!所詮私は性欲処理に使うぐらいしか使い道のないしょうもない女なんでしょ!??」
「ちげーよ!好きだからやったんだよ!!!!!」 「っ?!」

二人のマシンガントークな口喧嘩がやむ。
スナコが固まる。恭平の顔がかすかに赤くなる。

「好きだから・・・、嫌われてないって聞いたら・・・我慢できなくなって勝手に・・・」
目を伏せて気恥ずかしそうに言葉を続ける恭平。

ああ、長い睫・・・、なんてスナコは現実逃避にその睫に魅入った。

こんなことがあっていいのだろうか?
世界の宝のようなこの人に、こんなことを言われていいのだろうか?

また思考が上手くまわらない、何を考えれば、何を見れば、何を言えばいいのか
何もわからない。

恭平は混乱して動かなくなったスナコにゆっくりと近づいた。
そしてあくまで優しく、骨ばった両手でスナコの頬を固定して顔を上に向かせた。
「前に言ったよな?『愛がなければ意味がない。』って。」

優しく優しく、まるで初めてするような慎重な口付け・・・。

「今のは愛があるから、意味があるぞ?」

文字どうりの「痛いほどの愛情表現」に囲まれて、
一番愛して欲しい人に愛してもらえなかった。

「嫌だったら殴っていいからな。」
そう言うと恭平は真っ直ぐスナコを見つめた。
顔が近づこうが見つめられようがスナコの体は動かない。
いや、動けない。

恭平はスナコの両頬に触れている手をさりげなく動かした。
右手は後頭部に、髪を絡ませるように
左手はジャージ越しでも十分細い腰に。
そしてそのまま抱き寄せた。

顔を、首元に埋める。
『あー、なんか良い匂いする・・・』
思えば自分から女に手を出したことのない恭平。
女に触れてこんなことをおもったのは始めてであった。
鎖骨の辺りをきつく吸う。

「!」
加減なんてできない、したことがないから。
スナコが身を震わせた。おそらく痛かったのだろう。少し顔を離して触れ合った場所を確認する。
真っ赤にうっ血していた。
それは陶器のような白い肌に、見惚れるほど綺麗に映った。

スナコはいまだに現状が理解できなかった。
首元に鈍い痛みが走ったのはわかった。
抱き寄せられている、何故?
キスをされた、何故?
この人は愛があるといった、

何故?

今一度キスをされた。
触れるだけのものではなく、深い、濃厚なものだった。
「んっ・・・んんぅ・・・ッ!」
くぐもった声が部屋に空虚に響いた。
スナコは膝がガクガクと震え、今にもその場に崩れそうだった。
それを恭平は察したのか察していなかったのか、
流れるような動作でいとも簡単にスナコを抱き上げ、ベッドに下ろした。

スナコの頭の中で、前の記憶が鮮明に蘇った。
またあの屈辱に、痛みに、攫われるのか?

「嫌だったら殴っていいからな。」

スナコの拳に力が入った。
殴ればいいのだ、そう、殴れば。
自分に言い聞かせる。
簡単なことよ、アイスを食べられた時、我侭を言ってきた時、殴れたじゃないか。
頑張るのよスナコ、ううん、頑張る必要もないじゃない、いつものように殴ればいいのよ?

恭平が、馬乗りになって顔を近づけてきた。
格好のチャンスだった。

・・・拳の力が抜けた。
するすると、ほどけるように。

殴れるわけがないのだ。この人を。神様の作った最高級品を・・・。

『残酷・・・』

スナコの思いは恭平の手によってまた薄れて行くのだった。

もともと自信なんてなかった。ただ好きだったから・・・
この初めての思いが通じればいいと思っただけだったのに

なんと手際のよいことだろう。
瞬く間にスナコは生まれたままの姿になってしまった。
上には恭平、その上には布団。
恭平はへそに舌を這わせた。
「っ!」
いきなりの事でスナコは身震いをした。
寒くはないが暑くもない、ぬるまったい空気が気持ち悪かった。
そのまま舌は上へと移動する。少しざらざらとした感触がこそばゆかった。
ふくよかなそれに恭平の手が触れた。
優しく、なでるように恭平は愛撫した。
次第に先が固くなっていくのが肉眼でわかった。

『無理やりやられた時は気持ち悪ぃって思ったのにな・・・』
顔を隠すように、両手を顔の前に持ってきているスナコ。
恭平はその手を無理やりベッドに縫いつけた。
少し涙ぐみ、赤くなった顔がそっぽを向いていた。
少し苦笑して谷間に顔を埋めた。
「っあ!・・・い、ゃ・・・!」
説得力のない小さい声が聞こえた。
それでも恭平はお構いなしに、一番敏感な所を口に含んだ。
「ん・・・ぁっ!!」
舌を動かしてコロコロと玩ぶたび、甘い声が聞こえる。
それは恭平の理性を飛ばすには十分なもので・・・

「っひあぁぁ!!」
甘く、噛まれた。電撃が走るように
スナコの背中に甘美な痺れが走った。
反射的に腰をよじらせる。
いつの間にか自由となっていた片手は、恭平の胸板を力なく押して抵抗していた。
もちろん今のスナコの抵抗も恭平を煽っただけであって・・・

恭平は空いている手を下へと移動させた。

昨日の今日で一度慣らしたそこは、受け入れるのは容易なことであった。
恭平の指がクチュ、と卑猥な音を立ててスナコの中に沈んでいく。
「ぁ・・・ふあッ・・・!」
漏れる嬌声。
ざらついた所を見つけて執拗に撫ぜる。
「やッ、あっ、ぁっ・・・は・・・・・・んっ・・・!」
生理的な涙がスナコの目から零れた。
当たり前だがスナコはすでに何か考えるどころではなかった。
寝ているようなふわふわした感覚。
しかしそれらが現実であることを、汗ばんだ皮膚が、触れ合う肌が、握られた手が実感させた。

恭平は握った手に力をこめた。
あの時と同じ、愛しさがこみ上げた。
「・・・いれんぞ。」
耳元で囁く、昨日と同じように。
だがスナコは昨日と違い驚くような反応をした。
小さくだが、うなづいたのだ。
目もあわせようとしないし、そっぽを向いているが、小さくうなづいたのだ。
そのことは恭平にとってかなり嬉しいものだった。

スナコの体中に不意に鈍痛が響く。凄まじいほどの異物感に目の奥がしびれた。
やはりきついし、汗もうっすら浮かんだ。
恭平はあくまで優しく、ゆっくりとスナコの中に入っていったが、仕方のないことである。
なにせ昨日処女を失ったばかりなのだから。

ゆっくり動く。大きな高まりと少しの倦怠感が二人を包んだ。
動くたびスナコの口から甘い声が漏れる。
それを恭平が塞ぐ。
より深く繋がった箇所からくちゅくちゅと卑猥な水音が漏れだし、スナコは耳を塞ぎたくなった。

スナコは繋いだ手に強い力をこめた。
行き場のない感情と感覚が、不安で仕方なくなったのだ。

恭平もどこか同じ気持ちであった。
負けないくらいの力で、絡めた指に力をこめた。

腰骨を押さえ付けられて内部を掻き交ぜられると、悲鳴にも近い声がでる。
頭の芯がとろけたように、何も考えられなくなる。
貫かれた身体の奥が、痛みだけではない何かに侵食されていく。

「ッゃ・・・も・・・むりィ・・・・・・ッッ!!!」

先に限界に達したのはスナコだった。
背中に雷が落ちたみたいにびりびりと甘い甘い痺れが走った。

「ッ・・・!」

内部が一気にきつくなると共に恭平も達した。
中に何か熱いものが注がれたのがわかった。
達した余韻はなかなか消えず、スナコはしばらく身を震わせていた・・・。

恭平が上に倒れて来る。普段なら鼻血ものだが今は反れどころではない。
「ぁ・・・の・・・、早く・・・抜いてくださぃ・・・」
顔を真っ赤にしてスナコが呟く。
「・・・ぉう・・・。」
恭平は返事だけした。そして絡めた指をいったん離して、スナコを抱き寄せる。

「・・・好きだ。」 恭平の声は、今度は確かにスナコに届いていた。

文字どうりの「痛いほどの愛情表現」に囲まれて、
一番愛して欲しい人に愛してもらえなかった。

それでも、愛すべき人が現れた。

ベッドの中で囁くように彼はいった。
「ドイツもコイツも間違った愛情表現しかしらねーでさー。
俺が言えることじゃねーかもしんないけど。
普通に愛されたことねーから、俺がお前にしてきたことも、間違いかもな。」

「・・・なんであたくしなんですか?
ブスだし卑屈だしいいとこなんてないのに・・・。」

「卑屈になんのやめろ!
・・・まぁ、それがお前だし。
いいんじゃねーの?多分お前が普通じゃねーから、俺は好きになったんだよ。」

「・・・いっておきますがあたくしはまだ貴方のことが苦手ですからね?眩しい生き物。」

「・・・てめっ・・・。」

もともと自信なんてなかった。ただ好きだったから・・・
この初めての思いが通じればいいと思っただけだったのに

それが裏目に出て、今の私はいる。

それでも、わたくしを好いてくれる人が現れてくれた。

私はこれからこの人を、愛すことができるだろうか?

愛することができることは、きっと素敵なことであろう。

まだ十五歳どうしの、二人の人生は長い。

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