それはある日の出来事だった。スナコは新しいホラーDVDを探すため、店内を歩き回っていた。初めて入った店なので、ホラーの棚が何処か分からない。間違って18禁コーナーに入ってしまった。直ぐ様、間違いに気付き移動しようとすると・・・
《残虐・異常性愛》
「まあ、これはグロ画像いっぱいに違いないわ」
 パッケージを手に取ると、男女が2人ずつ(計4人)黒い衣装を身に纏い、ハードなSMプレイを行っている。鞭打ち、蝋燭、針貫通、逆さ吊り等。背景は拷問部屋。スナコは何を勘違いしたか、嬉しそうにレジに持っていった。

 ウキウキしながら部屋に戻りDVDをセットするスナコ。・・・と、その時ドアが勢い良く開いた。
「中原スナコ!!!早く飯作っ・・・・???!!!」
 ハードなスワッピングSMを大音量で、真剣な眼差しで見入っているスナコに恭平は固まってしまった。ふと我を取り戻し
「オマエ・・・そんな趣味が・・・・」
「恭平、どうしたの?」
 バタバタと歩み寄ってくる3人。画面を直視して雪之丞が震えながら
「ス・・・スナコちゃん?」
 武長も、直ぐ様冷静さを取り戻し
「確かに・・・・拷問部屋だしグロいし、スナコちゃんこーゆーの好きかも」
 それに続き蘭丸も
「俺も時々なら有りかな?針とかはヤダけど、もっとソフトなら」
 そこで3人がハッと気付いた。以前から2人きりにしたり、くっつけようと頑張ったり。悉く失敗に終わっていたが、こーゆープレイならスナコちゃん大喜びで・・・・
「じゃ、俺たち出掛けてくるから」
 そう言って3人は恭平をスナコの部屋に無理矢理、放り込んだ。

「じゃ、スナコちゃん、殺したり大怪我させなきゃ拷問ごっこしてもいいからね」
 そう言って去って行ってしまった。恭平がふざけんなとばかりに振り向くと・・・クスクスと笑いながらロープを手に持ったスナコがこちらを見ている。
「フフ・・・拷問ごっこ」
 背中が凍り付くのを感じながら恭平は言った。
「ふざけんな!!大体オマエにあんなこと出来んのか」
 そう言って指差した画面を振り向くと、今だ流れっぱなしのDVDでは、いつの間にか男女共に全裸になっていた。SMなので手錠や亀甲縛りはスナコいわく拷問らしいが、玩具プレイやアナルセックスはまた別モノである。スナコは腰を抜かしてしまい、あわてて部屋から出ようと這いずり回っていると

「待てよ!」
 恭平が被いかぶさって来た。
「あわわゎゎゎゎ」
 必死に逃げようとするが、腰が抜けているせいか力が入らない。
「てめぇ、このままで済むと思うなよ!まあ、あんなのは趣味じゃねーから俺はやんねーけど」
 耳元で囁き、恭平はスナコに深く口付けた。
「・・・・っっ!!!」
 思わず気絶しそうになるが、このままではヤバイとなんとか気を取り戻す。じたばたと藻掻いてみるが、いつの間にか恭平の手によってジャージのファスナーが降ろされていることに気付く。
「なんだよ、こーゆーのがしたかったんじゃないの!?どう見たってAVじゃん!!!このDVD・・・」
意地悪そうに恭平が笑いながら言う。あぁ・・・・絶体絶命だ。スナコは悟った。

「ん???何!?もう、諦めたの!!?」
 急におとなしくなったスナコに、恭平は怪訝そうに問う。まあ、実のところ、ちょっと仕返しに脅かしてやろうくらいに考えていただけなのだが。もちろん殴り飛ばされることも覚悟の上で。もしくは、鼻血を吹いて気絶するかのどちらかだと思っていた。

意外や意外、スナコはカタカタと震えながらも恭平の着ているシャツの釦をゆっくりと外しだした。 顔は背けているものの、頬が紅く染まって、体温が急上昇しているのが伝わってくる。

 逆に、動揺してしまった恭平だが、懸命に答えようとする、スナコが妙に愛しく思えて、いつしか本気で欲情していることに気付く。 これでは、どちらが罠に堕ちたのか・・・等と考えながらも、再び唇を重ねた。

 辺りが急に静まり返ったせいか、絡み合う舌先や吐息の漏れる音が自分達にも判り過ぎる程に聴こえて来る。ああ、DVDが終わったから静かになったのか。
「後で後悔すんじゃねーぞ・・・・」
 恭平はスナコに耳打ちすると、すでにはだけている胸元に手を滑らせた。ビクリと身震いする。優しく撫でて、桜色の先端を舌で転がしたり、軽く吸ってみたり。

「っ・・・ふぅ・・・・」
 スナコの唇から吐息が漏れる。恭平は徐々に、手を下の方へと移動させ、そのままジャージの下を脱がせる。 腿の付け根に軽くキスをして、ゆっくりとスナコの中心部を指でなぞる。ヌルリとしたものが、絡み付いたのを確認すると、そのまま指を浸入させた。

 初めての異物感にスナコは声にならない悲鳴を上げる。
「・・・・っっ!!!」
 中を掻き回され、次第に呼吸が荒くなっていく。息も絶え絶えのスナコに、恭平は限界を感じ、自らをも深く沈ませた。
「ひっ・・・???!!」

 熱く疼いたものが、自分自身の中に浸入して来て、スナコは痛みのせいか、声が裏返ってしまった。想像以上の圧迫感に、恭平も悲痛な表情を浮かべる。
「おい・・・動けないから、力抜け!!!」
 しばらくすると、スナコの緊迫した躰が少し和らいだ。恭平はゆっくりと腰を動かし、スナコの表情を見据えた。

「んっ・・・あっ、あぁ・・・・・!!!!」
 全身をビクビクさせながら喘ぐスナコ。今迄、こんな姿のスナコは想像出来なかった。恭平が絶頂に達して
「っっ!!!も・・・イキそ・・・・・!!!!」
 スナコも意識が遠くなって・・・恭平が果てると、ぐったりと倒れ込んだ。

 あれから、何日か経った。いつもの様に、何事もなかったかの様に、普通に日常を送っている。どうして、あんなことを許したのだろう?今だって、まぶしいものは苦手だし、恋愛云々は全く理解出来ない。それでも以前とは違う。あれ以来触れたりはしていないけれど。

 なんだか妙に優しくなった、まぶしい生き物を、不意に意識してしまう。

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